第16回 『ドア開放事故』
「ドア開放事故」ってどんなものかご存知ですか? 車がドアを開けたときに、自転車やバイクなどに接触する事故ですよね。
近年では、出動した救急車の乗員が開けたドアに自転車が接触し、自転車の男性が重傷を負った事故も発生しています。「ドア開放事故」では、自転車に接触する割合が一番高く全体の3分の2、次いで二輪車となり約2割。割合は少ないですが、歩行者や四輪車も接触してます。
 ここで注意してほしいのは、「ドア開放事故」というのは、基本四輪車が駐車・停車した後に起こる事故なのです。車は停まっていても、相手に与えるダメージは大きい場合があるということですね。
自転車・二輪車が多いのは、自転車・二輪車が四輪車より細く、小回りもきくため、渋滞などで停止している四輪車の脇をすり抜けていくことが多いからと考えられています。
たしかに、自転車などは四輪車の脇をすり抜けていきますが、ある意味それが自転車や二輪車の利点ですよね。ですが、利点だといってもイコール安全ではないということです。
また、データではほとんどの自転車・二輪車は、停まった四輪車の後ろから来てドアに接触しています。前から接近する自転車などは見えますけど、後ろは見づらいですよね。
ドアに接触、あるいは接触した後転倒して、ケガをされた方の6割以上は、腕や足にケガをされますが、自転車では頭や顔・首などのケガが二輪車より増えます。これは、自転車にはヘルメットの装着義務がないためと考えられます。
男性は、四輪車側では年齢とともに事故割合が高くなり、自転車・二輪車側では30代を頂点に前後で減少傾向に、女性は、四輪車側、自転車・二輪車側とも40代が一番多いという結果もあります。事故発生時、お互いを目的別で分類すると、四輪車は業務中が半数以上をしめ、自転車・二輪車は通勤、買い物、訪問・送迎途中での事故が目立ちます。
忙しい時、急いでいた時、ゆとりがない時に発生しやすいと考えられます。
ただ、道路交通法では、ドライバーが運転席以外のドアも含め、周囲に接近する自転車や二輪車などがないかしっかり確認し、事故を防がなければなりません。
 ドアを開ける際は、ドライバーが周囲をしっかり確認することが重要です。
 事故は起こされた方、起こした方双方にとって良いことはひとつもありません。
 ドライバーの方は、周囲の状況をミラーなどでしっかり確認の上でドアの開閉を行う。開ける際には、はじめに少し開けてからゆっくり大きく開けるのもひとつの手法です。もちろん助手席などの同乗者へも、適確な指示をして下さい。
 また、自転車・二輪車の方も、被害にあわないためにも、四輪車の横を通過する場合は動きに注意し、四輪車とは十分な間隔をあけてください。