柄本佑、主演ドラマの手応え語る

土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』(1月18日スタート)(左から)柄本佑、桑原亮子氏(C)NHK
 俳優の柄本佑が14日、東京・渋谷のNHKで土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』(18日スタート、毎週土曜 後9:00~9:49、全4回)の試写会に出席。見どころを語った。

 同ドラマは、阪神・淡路大震災発生時、自ら被災しながらも、他の被災者の心のケアに奔走した若き精神科医の物語。手探りながらも多くの被災者の声に耳を傾け、心の痛みを共に感じて寄り添い続け、震災後、日本における PTSD(心的外傷後ストレス障害)研究の先駆者となるも、志半ばでこの世を去った実在の精神科医、安克昌(あん・かつまさ)氏の半生を題材としている。遺族関係者への取材から得た事実を元に、脚本家の桑原亮子氏がフィクションとしてオリジナルストーリーを書き下ろした。安氏が生前に書いた同タイトルのルポ/エッセイ集とは異なる内容となっている。

 主人公の精神科医・安和隆を演じる柄本は、「こういう仕事をやっていてそんな本に出会えるっていうことは、人生に何回訪れるかわからないという、そんな本でした。ああ、これは気を引き締めていかなきゃいけないと思いました」と、取り組んだ時の心境を吐露。3ヶ月で全4話分の撮影を行うという時間的な余裕もあり、「ものすごくぜいたくな現場で、ゆっくりと安さんという人物をスタッフとキャストとみんなで探していったという作品です。僕の役者人生の中でもものすごく記念碑的な作品になりました」と、話していた。

 同席した脚本の桑原氏も執筆時の心境を告白した。「この脚本を書かせていただく時に2つ、ずっと自分の中で問い続けていたことがありました。それは25年目の今に震災のお話をする意味。そして、もう一つはこの安先生の人生をドキュメンタリーではなくドラマ化する意味。この2つがしっかり腑に落ちていなければ、いいドラマにはならないんじゃないかと思ってずっと考えていました」。

 25年目の今、震災を描く意味については、地域や家族間のつながりが薄くなっている無縁社会化に着目。「阪神淡路大震災から25年が経って、建物の耐震構造はだいぶ重視されるようになっていると思います。でも、安先生が目指しておられたのは社会の耐震構造というのでしょうか、何か災害が襲ってきたときに助け合える社会であるかどうか。ソフト面での耐震構造はむしろ25年前より今の方が脆弱になっているような気がします」。

 「私も25年前に被災しているのですが、その時にどこに誰がお住まいで、あの家はおばあちゃんのひとり暮らしやから、というのがわかっていて、住民同士で救助活動ができた。今はそれができるか?というと心許ない気がします。安先生が目指しておられた支え合える社会というのは、『傷つきに優しい社会』ということにもなると思うんですが、ひとりひとりが大事にされる社会というのを今、安先生の物語を通して皆さんにもう一度考えていただけたらいいなと思いながら書きました」と話した。

 また、ドラマ化する意味については「例えば雪を見たことがない方に、雪ってどんなものか見せたいと思ったときに、ドキュメンタリーは去年の冬の小さな雪だるまを冷凍庫から取り出して見せるようなもの。ドラマはスノードームを作るようなものだと思っています。本物ではないですけど、逆さまにしたら街に雪が降っているのが見える。それはもちろん触れないですし、冷たさもわからないんですけど、雪が降ってくるときのワクワクする気持ちとか、街が白く染まっていくときの美しさとか、そういうものはよくわかってもらえる。目の前にないものをたくさんの力を合わせて素晴らしいスノードームを作るように、そういうドラマになれば、安先生のドキュメンタリーではなくドラマである意味があるのではないかと思いました。(番組では)安先生の優しさとか、言葉にできない愛情のようなものが流れていて、これがドラマで良かったと改めて思いました」と、作品への思いを語っていた。

 なお、同ドラマには、主人公の妻役で尾野真千子、親友役で濱田岳、兄役でNHK ドラマ初出演となる森山直太朗が出演する。

(提供:オリコン)


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