”リアル絵“発信するYouTuber

どう落としても絶対割れないシロップ瓶 実はイラスト!
 一見すると、「紙の上に実物を置いただけ」の画像が、SNSで話題になる光景をたびたび目の当たりにする。よく見てみると、色鉛筆や絵の具を使って描かれたイラストだ。その“本物過ぎる”イラストに、数万件の“いいね”がつくこともしばしば。今回はそんな本物過ぎるイラストをYouTubeで配信している『takepon channel』のtakeponさんに、リアル絵の需要やYouTuberとして発信することへのこだわりについて聞いた。

■メインの戦場 は41歳から始めたYouTube SNSとの明確な使い分けも

――プロフィールを教えてください。

【takepon】名古屋市在住で、コンピュータシステム関連の仕事をしている46歳、サラリーマンです。趣味は、カラオケとダーツです。

――絵はご趣味では…?

【takepon】もちろん絵を描くのも好きです(笑)。でも、ノートに落書きするとか、絵手紙用の水筆で色をつけるとか、それくらいでしたね。今のように頑張って描き始めたのは、Youtubeに動画をアップするようになった2015年1月からです。

――描き始めたきっかけはどんなものだったんでしょうか?

【takepon】オリコンニュースでも取材していた、古谷振一さんの鉛筆画を拝見して「自分もやってみたい!」と思ったことがきっかけです。最初はHBとBの2本の鉛筆だけで、ティッシュや綿棒でボカせることすら知らずにゴリゴリ描いては「う~ん」と唸ってました(笑)。

――リアル絵を描いて、あえてYoutubeで配信している理由は?

【takepon】いや、順番が逆です。41歳のお正月に、新年の目標で「YouTuberを目指す!」と掲げたのが動画配信の始まりなんです。動画で「自分にできることは何だろう?」って考えた結果、とりあえず得意だった絵を描く動画をアップし始めたんです。

――なるほど。SNSも活用されているようですが、Youtubeとの使い分けはされているのでしょうか。

【takepon】「絵を描きたい」っていう創作のモチベーションには波があるんですよね。「今良い波じゃないな~」っていうタイミングにInstagramに絵を投稿すると「素晴らしい!」とか「VeryGood!」とかポジティブなコメントをたくさんもらえるんです。すると、「よ~し!次も頑張るぞ!」という気力が湧いてくるんですよね。また、素敵な絵を描かれてる方々の作品を見て刺激を受けたりできるのも、SNSを使う理由のひとつだと思います。

――なるほど。SNSはモチベーションをあげるためのもので、基本はYoutubeなんですね。

【takepon】私はYouTuberを目指しているので。Youtubeは、チャンネル登録してくれる人が増えるのがとても嬉しくてやめられません。一時はTwitterやブログなんかもやってましたが、全部やってると肝心の絵を描く時間が減ってしまうので、今は目的がはっきりしてるYoutubeとInstagramに絞って投稿しています。

■約5年の中で“リアル絵”需要にも変化? 「仲間が増えている感覚はある」

――始めの頃のYoutubeでは、アニメキャラに似せる絵の描き方の公開をされていましたよね。最近は、立体をリアルに見せるなどのリアル絵が多いですが、この変遷には理由が…?

【takepon】ただ、いろいろ描きたいだけです。“キャラクター”でも“人物画”でも“物体”でも、そのときに描きたいと思ったものを描くようにしていて、あまりこだわりはないです。1枚を仕上げるのに半月から1ヵ月くらいかかるので、モチベーションが途切れると完成しないんですよ。だから、僕は「今はこれを一番描きたい」という自分の気持ちが一番アガるものを対象に選ぶようにしています。

――Youtubeにアップするとさまざまな反応があると思いますが、現在よく描かれているリアル絵について、ユーザーのコメントにはどんなものが多いですか?

【takepon】「絵の描き方が知りたい」という方が多いですね。コメントも、動画をしっかり見てくれていることがわかるような具体的な感想や質問などをいただけることが多いです。絵を描きたいという仲間が増えてくれるのは嬉しいので、コメントでいただいた質問などにはなるべく丁寧に回答するようにしています。また、多い質問については解説動画を作ることもあります!

――たしかに、どうやって描いているのか気になります。物体をリアルに見せるコツはあるのでしょうか。

【takepon】光と質感が大事ですね。こだわるときは1平方センチメートルのサイズを描くのに4~5時間かけるなど、自分が納得するまで描き込んでいます。気を付けているのは、「急いで描かない」「疲れてきたら描くのをやめる」ということです。納期のない“趣味”だからこそ「時間が無限にある」というアドバンテージをめいっぱい活かして丁寧に描いています。

――趣味だからこそできるこだわりですね。ちなみに、画材にこだわりはありますか?

【takepon】自分の手で描き比べて、画材の性質を肌で感じて選ぶということにこだわっています。たとえば鉛筆ひとつとっても、STAEDTLERと三菱で描き味、芯の硬さ、色の濃さなどまったく違うんですよね。グラファイト鉛筆は蛍光灯の光を反射するけど、カーボン鉛筆は反射しないとかね。

――鉛筆は特に大事なのでしょうか?

【takepon】もちろん大事なんですが、一番重要なのは用紙だと思います。使う用紙によって、鉛筆のノリが良かったり悪かったりインクがにじみやすかったりといろいろあるので、自分のお気に入りやテーマに合った紙を探すのも絵を描く醍醐味だと思います。

――描き方だけでなく、道具の選び方なども見せていますよね。

【takepon】それは、「どんな道具を使ってますか?」という質問が多かったからです。モノクロ版の「リアルな目の描き方」の動画では、どの部分でどの濃さの鉛筆を使っているのかまで説明しています。僕が知っていることはすべて情報として発信したいし、逆に「俺はこんな風にやっているぞ!」なんてコメントなどもらえたら最高のコミュニケーションですね!

■ちょっとずつ絵が完成していくのは、ジグソーパズルのピースをはめていくような感覚

――Youtubeにアップする動画はタイムラプス動画で撮影されているそうですが、どれくらいの時間カメラを回していますか?

【takepon】撮影は10~30時間くらいが多いですね。それを500~1000倍速くらいにして、2~3分の動画にしています。1時間が3~4秒になるわけです。サラリーマンなので、仕事から帰ってきた後、寝る前の1~2時間で描いていくので、制作には1ヵ月くらいかかったりしますね。

――絵を描きながら撮影もされているんですよね。どんな風に撮っているんですか?

【takepon】実は最初は左手でスマホ撮影しながら右手で描くという荒業で撮影したものをアップしていました(笑)。編集はまったく経験がなかったのですが、インターネットとにらめっこしながらちょっとずつマスターしました。今では動画編集までひっくるめて趣味ですね。

――30時間かかった作品を数分で見せるのは儚い気もしませんか?

【takepon】むしろ、逆かなって思いますね。「絵がサクサク完成していくのを見るのって気持ちいいなぁ」って感じたからこそ、みんなにも制作過程を見てほしいと思うのかもしれないです。

――リアル絵を描く楽しさはどんなところですか?

【takepon】描いている間は無心になれるところですね。「ちょっとずつ絵が完成していく」という制作過程も好きで、ちょうどジグソーパズルのピースをはめていくような感覚で楽しんでいます。

――逆にリアル絵の難しさを教えてください。

【takepon】難しいことだらけですよ。絵が完成する度に、満足する自分と、ダメ出しする自分が必ずいます。難しさに終わりがないからこそ、飽きずに描いていられるんだと思います。

――これから描きたいモチーフは何ですか?

【takepon】今描いているのはマッシュポテトで作るイギリスのおやつ『シェパーズパイ』ですが、これは時間がかかりそうです。すでに10時間描いているのですが、まだ2割くらいしか描けていなくて、新記録になるかも。「なんでこんなモチーフを選んだんだろう?」って後悔もちょっとあります(笑)。でも苦労した分、完成したときの感動も大きいのを知っているので、頑張って完成させます! その次のモチーフはまだ考えてないですが、気に入った色鉛筆を手に入れたばかりなので、しばらくはカラーのリアル絵を描くんじゃないかなと思います。

――今後はどのようにリアル絵やYoutube配信を楽しんでいきたいですか?

【takepon】リアル絵に限らずアニメキャラも描くし、モノクロだけでなくカラー絵も描くし。最近はタブレットを購入したのでデジタル絵も研究中なんです。YoutubeやInstagramで単に情報発信するだけに留まらず、その可能性を活用してビジネスチャンスに繋げたいです。将来的には絵を描くことに専念して、絵を描くことで生計を立てる、つまり絵を描く時間を生み出すということに結び付けていけたら最高だなぁと思っています。絵を描くことと同様、諦めずに実現に向けて一歩ずつ歩んでいきたいですね。



文/高田 薫

(提供:オリコン)




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