『東京独身男子』今の時代に追求するテーマ

土曜ナイトドラマ『東京独身男子』(C)テレビ朝日
 現代男性の複雑に揺れる恋愛観と結婚観を社会性を絡めて描く『東京独身男子』(テレビ朝日系)。その絶妙なキャスティングへ高まっていた期待と、高橋一生、斎藤工、滝藤賢一が演じる「あえて結婚しない男子=AK男子」の姿のギャップが話題になっている。そんな本作の企画を2年にわたって推敲してきたというテレビ朝日の中川慎子プロデューサーに狙いを聞いた。

■“個”で生きる、その先の世界を描く

 本作は見た目も仕事もハイスペックながら「あえて結婚しない男子=AK男子」の3人が、さまざまな人生の転機に七転八倒しながら生き方を模索していくオリジナルのラブコメディ。結婚適齢期に煩悶するドラマといえば女性の主人公が定番であり、本作の脚本を務める金子ありさ氏が執筆した『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(16年/TBS系)もその1つだ。しかし中川氏は「今の時代だからこそ金子さんと一緒に追求したかったテーマ」と本作の企画意図を語る。

「私の周りにも、男女問わず独身アラフォーは少なくありません。仕事もプライベートも充実していて、とくに男性はいつまでも青春が続いている感じで、友情関係も大切にしている方が多いように感じます。もちろん結婚したくないわけでもないけれど、かといって焦っているわけでもない。『結婚してこそ一人前』といった社会的な圧力がなくなったからこそ生まれてきた新しいゾーンの男性たちは以前より増えていると思います」

 それでも長い人生にはいくつもの荒波がある。かつての社会通念にあった、「喜びも悲しみも夫婦で分かち合って乗り越えていく」とは異なる生き方を選択したその先の人生に待ち受けているものとは? 企画にあたって中川氏は、多様な生き方が許容される社会の歴史がまだ浅い現代に生きる難しさを感じ取ったという。

「個で生きていくとしたら、その自由と引き換えに、背負わなければいけない責任や覚悟があります。もちろん孤独も。それでもこの時代、そういう選択をする人は増えるでしょうし、そんな生き方のその先を、希望をもって描けたら、と考えて企画しました」

■ハイスペックがイヤミにならない男性キャスト3人の起用理由

 そんな本作は、同枠初回としては過去最高の視聴率で好発進。現代性のあるテーマもさることながら、3人の男性キャストにも注目が集まっているようだ。

「3人のキャラクター造形を描いた上で、それぞれお声がけさせていただきました。3人に共通するのは、ハイスペック男性ということです。高橋さん演じる主人公は金融アナリストという職業柄、恋愛の大事なところで踏み出せない不器用な男。そうした細やかな感情の機微を絶妙に表現できる俳優さんとしてオファーさせていただきました」

 斎藤工が演じるのは野性的なモテ男ながら、アラフォーに差し掛かって精力の減退に悩む審美歯科医だ。
「このなかで、実はもっとも三枚目という役を演じていただいています。金子さんからも、映画『高台家の人々』でご一緒にしたときに、自然でのびやかなコメディセンスが抜群だったと強い推薦がありました」

 そして滝藤賢一が演じるのは弁護士。3人のなかの最年長だけに、親の介護問題が降りかかってくる。
「自分自身も含め、この世代の多くの方が直面していく出来事だと思います。そんなリアリティも描きたいと考えて、この設定にしました。滝藤さんとは何度もお仕事させていただいているんですが、女性スタッフにとても人気があるんです。一緒に働く現場の女子たちを虜にする大人の魅力があって。滝藤さんのそんな素顔を世の中にもお伝えしたくて、実は衣装も3人の中でもっともおしゃれにしています」

 毎晩のようにつるんでいる3人の関係は、断食道場で意気投合したことに始まる。自分磨きにお金をかけられるのも独身ならでは。“あえて結婚しない層”の性差は縮まっているのかもしれない。そんななかで男性を主人公としたのは、中川氏の長年の思い入れもあった。

「私が女性だからかもしれませんが、男性のほうがナイーブで優しいように思います。そしていくつになっても童心に返れる(笑)。そんな愛おしさもあって、昔から『オトナの男』(97年/TBS)など“男性3人の社会”があるドラマに惹かれていました。本作も『結局、結婚はするの?』といったドラマの成り行きはもちろん、この三人の男子会をのぞきにいきたいなと毎週チャンネルを合わせていただける作品にしたいです」
(文/児玉澄子)

(提供:オリコン)




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