4時代生きる長唄三味線奏者・杵屋響泉

105歳、史上最高齢の現役女流長唄三味線奏者・杵屋響泉(きねや きょうせん)のデビュー作『一〇五(いちまるご)娘がつなぐ五世勘五郎の長唄世界』(4月24日発売)
 大正3年生まれ、現在105歳の史上最高齢の現役女流長唄三味線奏者・杵屋響泉(きねや きょうせん)が、アルバム『一〇五(いちまるご)娘がつなぐ五世勘五郎の長唄世界』(4月24日発売)でCDデビューを果たした。400年もの歴史を持つ長唄宗家の家系の1人娘として生を受け、大正、昭和、平成、そして令和と時代を超えて技と芸を継承しながらなお、新しいことに貪欲に挑戦し続けるその姿は、まさに「人生100年時代」を象徴するよう。長い人生を輝きながら生きていく素晴らしさ、尊さを、身をもって示している。

◆芸歴100年、転機は結婚 家庭を持つことで表現に深みが増した

 1914年、東京・築地生まれの響泉は、五代目杵屋勘五郎を父に持ち、4歳の頃に初めて長唄を体験。6歳から本格的に稽古を開始し、厳しい手ほどきを受けたことで、12~13歳頃には小学生に教えるほどにまで上達したという。その後も、芸に磨きをかける響泉だったが、人生において、また三味線奏者としても大きな転機となったのが32歳の時、一回り年下の詩人・木村孝との結婚だった。「(芸の継承のため三味線一筋の人生だったが)結婚によって、『これが人間なんだな』と生活を実感することができた。今があるのは主人のおかげ」(響泉)と言わしめるほど、結婚し家庭を持つことで今まで知らなかった世界への視野が広がり、以前にも増してより感情的なもの、人間の喜怒哀楽を三味線で表現できるようになったという。

 104歳の時、大腿骨を骨折するアクシデントがあり一時入院を余儀なくされたが、「入院していると病人になってしまいそうだから」(響泉)と2日目には自主退院。家族の献身的な介護による自宅療養によって、驚異的な回復をみせ驚くことに2ヶ月足らずで骨が付いてしまったという。

◆105歳の今なお現役バリバリ「若い人には負けない」

 そして現在、105歳の最高齢の現役長唄三味線奏者として、弟子に稽古をつける日々を送る響泉。この3月には、重要無形文化財「長唄」の保存・伝承に寄与し、日本の文化財保護に多大な貢献をした功績が讃えられ、「平成三十年文化庁長官表彰」を受けた。文化継承のため後進の育成に力を注ぎながらも、「(長唄は)自分の命よりも大事、これだけは若い人には負けない」(響泉)と語っているように、今なお現役バリバリ。

 アルバム『一〇五~』の制作を手がけた、ソニー・ミュージックダイレクト担当者も、「この度のレコーディングでの響泉さんの演奏は、音感が冴え、フレットのない三味線の勘所(音程を出すために押さえるところ)をピタッと躊躇なく決めて撥をたたくその神業に、奇跡を体感しました」と、その凄みについて語り、加えて「このCD制作を通して、響泉さんが105歳になっても演奏活動ができるのは、ご本人の生命力と技の素晴らしさもありますが、何よりも娘・六響さんと、孫・和久さんの日々の介護があるからだと身にしみて感じました」ともコメントしている。

 芸を受け継ぐ娘、孫などの家族の支えも受けながら、“奇跡の105歳” は令和の時代もさらなる高みを目指す。

(提供:オリコン)




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